個人法人問わず経費をクレジットカードで決済するケースが多いと思いますが、決済後の資料の整理や経理処理はどのようにしておられるでしょうか?今回は効率的かつセキュアなクレジットカード周りの処理方法についてご紹介したいと思います。
1.カード利用時のレシートやネット通販の納品書などは必ず保存しておく
これ、とても重要です。
《ポイント1》現金決済の領収書と混同しない。必ず分けて保管する。
クレジットカードはカード明細をもとに経費処理するのが一般的です。それゆえ現金払のレシートとカード利用時のレシートが混ざってしまうと、現金払で経費計上されてクレジット払で更に経費計上されるという重複計上が起こるリスクがあります。こういったケースは経理を事業主本人が行う個人事業主や一人役員法人にしばし見られるのですが、そうした事務処理ミス予防のためにもカード利用時のレシート・納品書等は現金決済の領収書と分けて保管しましょう。
《ポイント2》保管するとき日付順(昇降順どちらでもOK)に並べて保管する。
日付順で保管するとカード利用明細の内容と突き合わせするときに効率的だからです。ではなぜ、カード利用明細と突き合わせをしないといけないのかという理由は後でご説明します。
Q.なぜ、利用時のレシートや納品書などを保存しないといけないのか?
これは消費税法で、クレジットカード明細に記載の内容だけでは消費税の仕入税額控除の要件を満たさないというルールがあるからです。クレジットカード明細はあくまでクレジットカード会社が発行したものであり、モノやサービスを私たちに提供した事業者が発行したものではないのでダメよという消費税法の規定に基づいています。
《参考》国税庁HP質疑応答事例より
仕入税額控除というのは消費税を算出する上での経費とお考えいただければ差し支えないと思います。消費税の課税事業者でない方や課税事業者でも簡易課税方式を選択されている事業者は直接の影響は無いのですが、それ以外の一般課税方式の事業者の方は、カード決済分の仕入税額控除が認められないようなことになると結構ダメージが大きいので、2017年4月には消費税率の引上げも控えてますので、ぜひ押さえていただきたいポイントです。
Q.WEB化でカード利用明細が紙で出ないが、紙で出力する必要はある?
管理しやすい方法で保存ができれば必ずしも紙で出力されることはないと思います。注意しないといけないのは、WEB上のカードの利用明細は一定期間を過ぎるとデータが削除される場合がありますので、明細データをPDFなどに変換して月ごとに保存していただいたほうがいいでしょう。ちなみに私は利用しているカードが少ないので、紙で利用明細書を発行してもらってます(紙のほうが管理が楽なんで)。
Q.電話・携帯代などがWEB化で請求書が出ないが、紙で出力する必要はある?
これも上記と同じでどちらでも構いません。印刷コストもかけたくないので、私は『2015.1』『2015.2』といつの明細データか分かるような名前を付けてPDFにデータ変換して『au携帯(VISA)』のように何の支払に係る明細か分かるような名前をつけたフォルダに放り込んでいます。
2.カード利用明細と利用時のレシートや納品書と突き合わせする
私もそうなんですが、カードの利用明細の支払額(引き落とし予定額)は見ても、その内訳までじっくり確認する機会は少ないのではないのでしょうか?
突き合わせの作業としてはクレジットカード利用時のレシートや納品書などを利用明細と突き合わせをして最終的に利用明細とセットで保管するような形になるのですが、このとき上で書いたように利用時のレシート等を日付順に並べておけばチェック作業も効率的に進められます。私はカードを利用したその日にレシート等を空き箱に入れるようにしています。そうすれば自然と利用日順に並びますし、突き合わせが終わればカード明細の後ろにホチキスでパチンと止めて終了です。ファイリングするとちょっと分厚くなりますが、カード利用数がさほど多くないので今のところはこれで大丈夫です。
突き合わせをすると下記のようなメリットがあります。
・上で述べた消費税の仕入税額控除の要件を押さえる事ができる・・これだけで上で述べた税務リスクが回避できますし、調査などの際の心証も良くなる(はずです)。
・万一カードの不正利用があったら気づくことができる・・(社)日本クレジット協会のデータによると、2014年度のクレジットカードの国内での被害額が4.5億円もあるようです。セキュリティ対策が進みピーク時に比べその数は年々減りつつあるようですが、それでも高い水準にありますね、くれぐれもお気をつけ下さい。
・利用状況を振り返ることで、支出管理ができる・・「今月これだけ使ったか、、、」と客観的に数字を意識すると自然とお金の使い方も改善するものです。
今日はちょっとアナログな話でしたが、このあたりの原始帳票の整理って大切だと思います。事業規模が大きくなればなるほどこの辺りの作業の手間は大きくなるので、規模が小さなうちに効率的で意味のある管理手法を形成しておきたいところですね。作業自体は地味ですし手間もかかることですが、様々なメリットもありますので、やって損はないですよ。